こんにちは、獣医師の林です。
今年は秋らしい秋もなく、突然冬がやってきた…そんな印象です。
童謡「ゆき」でも、「犬は喜び庭駈け回り、猫は炬燵で丸くなる」という歌詞があるように、ワンちゃんは寒さに強いイメージがありますが、近年は病院勤務をしていても寒さで体調を崩されている子も多く、温度管理がしっかりされた屋内で過ごしている子たちが増えてきたことが影響しているのでは…と思っています。
さて、今回はそんな寒い冬の【ワンちゃんの寒い時期のごはんと過ごし方】についてのお話をさせていただきます。
【目次】
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- 寒い時期に増える疾患「泌尿器トラブル」「胃腸炎」
- 寒い時期の過ごし方の工夫・対策
- 寒い時期のごはんの工夫
- まとめ
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1.寒い時期に増える疾患
この時期に増えてくるのが膀胱炎・結石などの泌尿器トラブルと胃腸炎です。
泌尿器トラブルは飲水量の低下に伴うもの、胃腸炎は冷えからくるものがほとんどです。
■ 飲水量の低下に伴う「泌尿器トラブル」
寒くなると人間も冷たいものを飲むということはあまりなく、少し温かいものを飲むことが増えるかと思います。
ワンちゃんたちも、寒い時期にはあまり冷えたものを欲しがりませんし、寒いと動かなくなるため体の巡りが滞り、喉の渇きも感じにくくなっているケースもあります。
このようなことから知らず知らず飲水量が低下しており、おしっこが濃くなり成分が凝縮し菌が蔓延りやすくなることで膀胱炎が起きたり、また成分凝縮したものが結晶・結石となって様々なトラブルを引き起こします。
■ 冷えによって生じる「胃腸炎」
また、室温はある程度高めでもワンちゃんたちが過ごす床はかなり冷えていて、フローリングやドアの隙間などで休んでいて冷えてしまうことで、食欲不振や嘔吐、下痢などの胃腸炎を起こしてしまうこともあります。
2.寒い時期の過ごし方の工夫・対策
上記2点は日々の生活で工夫ができます。
まずは我が子の1日の飲水量がどの程度かを把握し、排尿量も併せてチェックを行いましょう。
そして我が子がくつろいでいる場所が冷えていないかどうかも確認をし、冷えてしまうような場合には湯たんぽなどを使って保温してあげましょう。
電気カーペットは電磁波フリーのものだと良いですね。
乾燥による静電気もお体には悪影響ですので、湿度管理も忘れずに行いましょう。
3.寒い時期のごはんの工夫
そしてこの時期はお体も芯から冷えがちです。
元々火照りやすい子、炎症が起きている子以外は、いつもよりも少し温かいお食事を意識して、お腹の内側からも温めてあげましょう。
人肌程度の温かさだと、消化酵素も良く働きますので胃腸ケアにもつながります。
食材の五性で言えば、温性のものを多めに意識してみると良いかもしれません。
特に鶏肉はお肉の中でも消化がしやすく、益気といって気(エネルギー)を補う力を持っていますので、寒い冬にピッタリ!
どこの部位を使ってもOKですが、鶏皮は脂が多いので脂質制限している子は取り除いてあげましょう。
【まとめ】
①寒い時期に増えるのは膀胱炎・結石などの泌尿器トラブルと胃腸炎
②泌尿器トラブルは飲水量の低下に伴うもの、胃腸炎は冷えからくる
③くつろいでいる場所が冷えていないかどうかも確認をし、冷えてしまうような場合には湯たんぽなどを使って保温してあげることが大切
④いつもよりも少し温かいお食事を意識して、お腹の内側からも温めてあげると◎
⑤特に鶏肉はお肉の中でも消化がしやすく、益気といって気(エネルギー)を補う力を持っていますので、寒い冬にピッタリ!
寒い冬は始まったばかり。
本格的な寒さを迎える前に、気を補って寒さに負けない体づくりを目指しましょう!