
こんにちは、獣医師の林です。
今年は九州で5月16日に梅雨入りとなりましたが、その他地域は平年並みとのこと。
少しずつ湿度が高くなり、私たち人間にとっても体調を崩しやすい時期ですが、実はワンちゃんたちにも大きな影響があることをご存知ですか?
今回は、そんな梅雨時期のワンちゃんに見られやすいワンちゃんのトラブルやおうちで出来る日常の対策、食事の取り入れ方についてご紹介します。
【Q&A 一覧】
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- 梅雨時期に見られるトラブル
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湿度が高いと食欲が落ちる?
- 関節の不調に注意!
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1.梅雨時期に見られるトラブル

まず、梅雨時期は、気圧の変動や湿度が高いことが影響して体調を崩すワンちゃんの来院が増える傾向にあります。
動物病院でよくみられる傾向としては
・皮膚トラブル(湿疹、かゆみ、膿皮症など)
・消化器症状(食欲不振、下痢、嘔吐)
・関節の不調(気圧の影響で関節痛が悪化)
などが挙げられます。

私たちと違い、ワンちゃんたちは汗をかきにくい動物さん。
そのため、被毛が長い子の場合には被毛の間に湿度が入り込んで蒸れてしまうことによって皮膚病を起こしてしまう子が多い印象です。
特にこの時期に多いのが膿皮症。
膿皮症は赤い湿疹のようなものが見られるものから、皮膚が環状にかさついているような状態(表皮小環)、さらに悪化すると痛みや熱を伴う状態にもなりますので、早めの受診をお勧めいたします。
2.湿度が高いと食欲が落ちる?

また、湿度が高くなることで余計に体の中がむくんだ状態となり、胃内停水と言って胃がチャプチャプした状態となって食欲が落ちてしまったり、また余剰水分を排泄する目的で下痢や嘔吐などが起きてしまうこともあります。
東洋医学的には、脾胃(いわゆる消化器系)は湿度に弱い臓腑と言われていますので、いつもよりも食欲が落ちやすいのも頷けます。
3.関節の不調に注意!

そして関節の不調。
低気圧になると関節包が膨張し、神経や血管が圧迫され、関節痛が生じることがあります。また、湿度の増加によって関節が腫れやすくなったり、低気圧になると炎症にかかわるヒスタミンという炎症物質が増加することで、関節痛が悪化することがあります。
その他、雨が続くことによってお散歩時間が限られてしまい体重増加してしまう子、外に行くことができずストレスが蓄積してしまう子、気圧の変動による自律神経の乱れでストレス過多になってしまう子など、色々な影響が出やすくなります。
4.おうちでの対策

それでは、このジメジメ・ジトジトした梅雨時期、おうちで出来る対策は何でしょうか?
まずは言わずもがなですが、お部屋の湿度対策をしっかり行いましょう。
お部屋の湿度は高くても55%程度が理想。これからの暑い季節、湿度が60%を超えると熱中症リスクがグンと上がりますので注意が必要です。
お散歩に行くことができない分、お部屋でのストレス発散方法を見つけてあげるのも大事です。
ノーズワークマットを使ってみたり、ホットタオルや小豆のカイロなどを使って血行促進した後にマッサージを行ってあげたりするのもお勧めです。
5.お食事でのケア

湿度が高い時期は脾胃を労わってあげることがとても大事。
普段よりも少しお食事量をを少なめにしてあげたり、消化の良いお食事を取り入れてみましょう。
手作り食の方であればかぼちゃやさつまいも、鶏肉、白身魚などがお勧めです。
浮腫みが気になる子は、ハト麦やとうもろこしのヒゲ茶、小豆茶などを取り入れてみるのも良いですね。
食欲が落ちてしまっているようなときには、ボーンブロスなどのスープだけ与えるというのもお勧めです。
逆にこの時期に控えたいお食事は脂っこいもの(フードも脂質が高いもの、開封してからかなり日にちが経ってしまっているものはNGです)、冷たいもの、甘いもの。
人もこれらは控えたほうが良いため、冷たいアイスをたくさん食べるなどは控えましょう。
【まとめ】
梅雨の養生次第で、夏を快適に乗り切れるかどうかが変わってきます。
真夏、とてもエネルギーを消費してしまう季節だからこそ、梅雨のうちにお体の水はけをよくしておいて、しっかりとエネルギーを蓄えておくよう心がけてみてください。