
こんにちは、獣医師の林です。
近年、SNSでもワンちゃんの薬膳について発信をされている方が増えてきた印象ですが、皆様は日頃のお食事で薬膳を意識されたことはありますでしょうか。
さて、今回はワンちゃんにとっての【薬膳の考え方、取り入れ方について】についてのお話をさせていただきます。
【目次】
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- 「薬膳」とは
- 「中庸」の考え
- モンシェリごはんの薬膳
- まとめ
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1.「薬膳」とは

薬膳とは、食材や薬草を使って健康を見極め、病気を予防・治療するための食事療法のことです。
薬膳の基本的な考え方は、五行(木・火・土・金・水)のバランスを重視し、体質や季節、環境に合わせた食材を選びます。

食材には五性と言って、体を温める性質のもの(熱性、温性)、体を冷やす性質のもの(寒性、涼性)、どちらでもないもの(平性)に分けることができ、これらを体質に合わせて使い分けていきます。
この食材というのは、必ずしも薬膳食材・生薬といったちょっと難しい食材に限ったことではなく、私たちが日常的に食べている食材はすべて五性で分類することができます。
2.「中庸」の考え

東洋医学では、『中庸』という考えがあり、偏らずに調和とバランスを重視することが重要とされています。
そのため、食材の組み合わせでも『中庸』を意識していくことがポイントになります。

例えば、きゅうり+味噌の組み合わせで考えると、きゅうりは体を冷やす寒性、味噌は体を温める温性になるため、寒性の働きを味噌で和らげて中庸に近づける組み合わせになっています。
食べ合わせが悪いと言われている組み合わせも、薬膳的に考えると納得。というものも多かったりします。
3.モンシェリごはんと薬膳

moncheri kitchenのレシピも、色々な体質の子に召し上がっていただきたいという思いがありましたので、どのレシピも『中庸』になるように食材を組み合わせています。
また、食材には帰経と言って、この食材を食べたときに生まれるエネルギーがどの臓器に届くかという考えもありますので、五臓六腑にも偏りなくエネルギーが届けられる食材の組み合わせにもなっております。

その中で、少しでも薬膳を身近に感じていただければという思いもあり、少し特殊なクコの実、はとむぎを取り入れております。
クコの実はアンチエイジングとして有名な食材で、『補腎益精』と言って腎臓や肝臓のサポートに役立つと言われています。
視力のサポートにもなりますので、日々のお食事で少しでも目の健康を守ってあげたいですね。

はとむぎは利水食材と言って、お体の余剰水分排泄に役立ちます。
湿度が高い日本で暮らす子たちは、浮腫みが生じている子も多く、浮腫みから冷えが生じていたり、イボや皮膚炎などが起きてしまっている子も少なくありません。
浮腫みの軽減に加え、低GIの炭水化物のため血糖値も緩やかに上昇、且つ腹持ちが良いのでダイエットにもお勧めの炭水化物となります。
【まとめ】
①薬膳とは、食材や薬草を使って健康を見極め、病気を予防・治療するための食事療法のこと
②食材の組み合わせでも『中庸』を意識していくことがポイント
③モンシェリごはんはクコの実、はとむぎを取り入れたごはん
薬膳は我が子の体質にあった食材の組み合わせができれば、お薬ほど強い効果はないもののマイルドに反応し、ちょっとした不調の改善に役立ちます。
ご自身の日々の食事にも役立つ知識になりますので、機会がありましたら是非学んでみてください。